「この物件、ハザードマップでは大丈夫ですか?」
賃貸住宅やマイホームを探していると、このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
近年は、台風や集中豪雨だけでなく、「線状降水帯」「ゲリラ豪雨」「内水氾濫」といった言葉をニュースやSNSで目にする機会も増えました。
そのため、駅からの距離や家賃、間取り、築年数だけでなく、
という視点で住まいを選ぶことが、ますます重要になっています。
今回は、不動産を借りる・買う前に知っておきたい「ハザードマップの見方」を、初めての方にもわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- ハザードマップとは何か
- 物件探しで確認したい5つのポイント
- 洪水・内水氾濫・土砂災害などの見方
- 「色が付いていない=安全」ではない理由
- 避難所・避難ルートの確認方法
- 賃貸・マンション選びで注意したいポイント
そもそもハザードマップとは?
ハザードマップとは、自然災害によって被害が発生する可能性のある場所や、避難場所・避難経路などを地図上に示したものです。
代表的なものには、次のようなものがあります。
- 洪水
- 内水氾濫
- 土砂災害
- 高潮
- 津波
地域によっては、地震による揺れやすさや液状化などに関するマップが公開されている場合もあります。
国土交通省・国土地理院の「ハザードマップポータルサイト」を利用すると、全国の災害リスクをまとめて確認できます。
POINT
ハザードマップは「未来の災害を正確に予言する地図」ではありません。「この場所にはどのような災害リスクが考えられるのか」を知るための資料として活用しましょう。
ハザードマップを見るときの5つのポイント
① まず物件の場所を確認する
最初に確認するのは、検討している物件の位置です。
ハザードマップポータルサイトの「重ねるハザードマップ」では、住所から場所を検索できます。
物件を中心に、次のような周辺環境も確認してみましょう。
- 川が近くにないか
- 周囲より低い土地ではないか
- 山や崖が近くにないか
- 海や水路が近くにないか
② 洪水は「色」だけでなく浸水深を見る
洪水ハザードマップでは、想定される浸水の深さが色分けされていることがあります。
ここで重要なのが、
です。
たとえば同じ浸水想定区域でも、
- 50cm程度
- 1~3m
- 3~5m
- 5m以上
では、想定される被害が大きく異なります。
マンションの場合も、単純に「3階だから大丈夫」とは言い切れません。
自分の部屋が浸水しなくても、
- 1階エントランス
- エレベーター
- 電気設備
- 駐車場
- 機械式駐車場
- 受水槽などの設備
が被害を受ける可能性があるからです。
この2つをセットで考えましょう。
③ 「川が遠いから安心」とは限らない
最近の住まい探しで特に意識したいのが、内水氾濫です。
内水氾濫とは、大雨によって下水道や排水設備の処理能力を超え、道路や住宅地などに水があふれる現象です。
つまり、近くに大きな川がなくても浸水する可能性があります。
短時間に大量の雨が降るゲリラ豪雨や線状降水帯などを考えると、洪水だけではなく「内水」の情報も確認しておきたいところです。
特に次のような場所・物件は注意して確認しましょう。
- 周辺より低い土地
- アンダーパス付近
- 地下室のある建物
- 地下駐車場
- 半地下住宅
- 1階住戸
④ 土砂災害・津波なども確認する
ハザードマップは水害だけではありません。
山や崖の近くでは、土砂災害警戒区域などに該当していないか確認しましょう。
沿岸部では、津波・高潮についても確認が必要です。
特に津波の場合は、浸水区域を見るだけではなく、
- どこへ逃げるのか
- 高台まで何分かかるのか
- 津波避難ビルがあるのか
まで確認しておくことが大切です。
⑤ 物件から避難所までのルートを見る
意外と見落とされやすいのが、避難場所までの経路です。
避難所が近くても、その途中に、
- 川
- 橋
- 崖
- 低い道路
- アンダーパス
などがあれば、災害時に通れなくなる可能性があります。
避難所まで500mだから安心、ではありません。
「災害時でも安全にそこまで移動できるか」まで確認することが重要です。
「ハザードマップで色が付いていない=安全」ではない
これは、ハザードマップを見るうえで非常に重要なポイントです。
マップを見て、
と判断するのはおすすめできません。
ハザードマップは、一定の条件や想定に基づいて作成されています。また、災害に関する情報が十分に整備されていない地域もあります。
そのため、
色が付いていない = 災害が絶対に起きない
という意味ではありません。
過去の浸水履歴、土地の高低差、地形、周辺環境なども合わせて確認すると、より現実的にリスクを判断できます。
「重ねるハザードマップ」が便利
物件探しで便利なのが、国の「重ねるハザードマップ」です。
名前のとおり、複数の災害リスクを地図上に重ねて確認できます。
といった情報を、一つの地図上で確認できます。
住所検索もできるため、
- 気になっているマンションを調べる
- 引っ越し先候補を比較する
- 購入を検討している土地のリスクを調べる
といった使い方にも向いています。
不動産契約ではハザードマップの説明がある?
不動産取引では、水害リスクに関する情報は重要なポイントです。
2020年8月から、宅地・建物の売買や賃貸借契約における重要事項説明で、水防法に基づいて作成された水害ハザードマップを提示し、対象物件のおおむねの位置を説明することが義務化されています。
対象となるのは、主に次の水害ハザードマップです。
- 洪水
- 雨水出水(内水)
- 高潮
ただし、重要事項説明を聞いて終わりにするのではなく、できれば物件を申し込む前の段階から自分でも確認することをおすすめします。
内見するときは「現地」も確認しよう
ハザードマップを確認したら、実際の現地も見てみましょう。
チェックしたいポイントは次のとおりです。
現地チェックリスト
□ 周囲より土地が低くなっていないか
□ 近くに川や水路がないか
□ 道路との高低差はどうか
□ 建物入口の高さは十分か
□ 地下・半地下部分がないか
□ 側溝や排水設備はどうか
□ 崖や急傾斜地が近くにないか
□ 避難場所まで安全に移動できるか
地図だけでは分からないことも、実際に現地を見ることで気付くことがあります。
雨の日に内見できるのであれば、道路の水はけや敷地内に水がたまりやすい場所がないかを見る良い機会にもなります。
賃貸なら何階を選べばいい?
「水害が心配なら2階以上を選べば大丈夫ですか?」という疑問を持つ方もいるでしょう。
確かに浸水リスクを考えれば、一般的には上階のほうが室内への直接的な浸水リスクを抑えられる場合があります。
しかし、それだけで判断することはできません。
| 階数 | 主な注意点 |
|---|---|
| 低層階 | 洪水や内水氾濫による直接的な浸水リスク |
| 高層階 | 停電・断水・エレベーター停止時の生活負担 |
つまり、
+
高層階=停電・断水時の生活リスク
という両方の視点で検討する必要があります。
ハザードマップは「物件を諦めるための地図」ではない
ハザードマップに色が付いていると、
「この物件はやめたほうがいい?」
と思う方もいるでしょう。
しかし、必ずしもそうとは限りません。
大切なのは、「リスクを知ったうえで、そのリスクを許容できるか」を判断することです。
たとえば、
- 浸水想定区域であれば上階を選ぶ
- 避難場所を事前に確認する
- 火災保険・家財保険の水災補償を確認する
- 非常用品を準備する
- 家族で避難方法を決めておく
といった対策も考えられます。
不動産には、
価格・家賃・立地・利便性・築年数・建物構造・災害リスク
など、さまざまな判断材料があります。
ハザードマップもその一つとして、冷静に確認することが大切です。
物件探しでおすすめの確認順序
気になる物件を見つけたら、次の順番で確認してみてください。
ここまで確認すると、単に「ハザードマップに色が付いている・付いていない」だけではない、より現実的な住まい選びができます。
まとめ|家賃・間取りと一緒に「災害リスク」も確認しよう
住まい探しでは、
- 駅徒歩5分
- 築浅
- 家賃が安い
- 部屋が広い
といった条件に目が行きがちです。
もちろん、それらも大切です。
しかし、長く安心して暮らすためには、
という視点も忘れてはいけません。
ハザードマップを見るときは、
↓
災害の種類
↓
被害想定
↓
避難場所
↓
避難ルート
までセットで確認するのがおすすめです。
そして何より大切なのは、
「リスクを知って住まいを選ぶための地図」です。
賃貸でも購入でも、気になる物件を見つけたら、契約する前に一度ハザードマップを確認してみてください。
「この物件の災害リスクをどう見ればいいか分からない」という場合は、不動産会社に相談しながら確認するのもおすすめです。
※ハザードマップは一定の想定条件に基づいて作成されたものであり、災害の発生や被害を完全に予測するものではありません。最新の情報については、国土交通省・国土地理院のハザードマップポータルサイトおよび各自治体が公表する情報をご確認ください。

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