「この物件は元付です」
「客付会社を通して紹介できます」
不動産会社のホームページや営業担当者との会話で、このような言葉を聞いたことはありませんか?
「元付(もとづけ)」と「客付(きゃくづけ)」は、不動産取引における会社の役割を表す言葉です。
近年はSNSでも、「仲介手数料」、「囲い込み」、「レインズ」、「未公開物件」といったキーワードが注目されています。
元付・客付の仕組みを理解すると、同じ物件を複数の不動産会社が掲載している理由や、自分に合った相談先の選び方がわかりやすくなります。
目次
元付とは?
元付の意味元付とは、売主または貸主から直接、売却や入居者募集の依頼を受けている不動産会社のことです。
例えば、マンションの所有者が「この部屋を売りたい」と不動産会社へ相談した場合、売却の依頼を直接受けた会社が元付会社になります。
賃貸の場合は、アパートやマンションのオーナーから「入居者を募集してほしい」と依頼を受けた不動産会社が元付会社です。
元付会社が担当する主な業務
- 売却価格や募集賃料の査定・提案
- 売主・貸主との媒介契約や管理契約
- 物件写真や間取り図の準備
- 不動産ポータルサイトへの広告掲載
- レインズなど業者間ネットワークへの登録
- 購入希望者・入居希望者からの問い合わせ対応
- 内見日程や条件交渉の調整
- 重要事項説明書や契約書類の準備
元付会社=売主・貸主から物件を直接預かっている会社
元付会社は、売主や貸主と直接やり取りしているため、物件の募集条件や申込状況を詳しく把握していることがあります。
客付とは?
客付の意味客付とは、物件を購入する人や借りる人を探し、元付会社の物件を紹介する不動産会社のことです。
例えば、「仙台市内でペットと暮らせる賃貸物件を探している」というお客様から相談を受けた不動産会社が、他社の取り扱う物件を紹介する場合、その会社は客付会社として取引に参加します。
客付会社が担当する主な業務
- 購入希望者・入居希望者の希望条件を確認する
- 条件に合う物件を複数の会社から探す
- 物件を比較しながら提案する
- 元付会社へ空室状況や販売状況を確認する
- 内見や現地案内を行う
- 申込みや価格・条件交渉をサポートする
- 契約や引き渡しまで買主・借主を支援する
客付会社=買主・借主の物件探しを支援する会社
元付会社と客付会社の関係
不動産取引では、元付会社と客付会社が協力して一つの契約を成立させることがあります。売主・貸主
↓
元付会社へ売却・募集を依頼
↓
レインズなどの業者間ネットワークへ登録
↓
客付会社が物件情報を確認
↓
買主・借主へ物件を紹介
↓
売買契約・賃貸借契約の成立
元付会社が物件情報を提供し、客付会社がお客様を紹介することで、売主・貸主と買主・借主が結びつきます。
覚え方のポイント
「元付」は物件側の窓口、「客付」はお客様側の窓口と考えると、関係を理解しやすくなります。
同じ物件を複数の不動産会社が掲載している理由
SUUMOやHOME’S、アットホームなどで物件を探していると、同じ部屋や同じ住宅を複数の不動産会社が掲載していることがあります。 これは、必ずしも別々の物件というわけではありません。 元付会社が業者間ネットワークなどを通じて物件情報を公開し、複数の客付会社が同じ物件を紹介していることがあるためです。同じ物件でも掲載内容が異なることがあります会社によって、掲載写真、説明文、キャンペーン、初期費用の表示方法などが異なる場合があります。また、情報の更新時期によっては、すでに申込みが入っている物件が掲載されたままになっていることもあります。
気になる物件がある場合は、最新の募集状況を不動産会社へ確認しましょう。
元付会社へ問い合わせるメリット
最新情報を確認しやすい
元付会社は売主や貸主と直接連絡を取っているため、申込状況や募集条件の変更を比較的早く把握していることがあります。条件交渉を伝えやすい
価格、賃料、入居時期、設備などの希望を、売主や貸主へスムーズに伝えられる場合があります。物件情報を詳しく把握している
元付会社は、修繕履歴や募集の経緯、鍵の管理、内見方法など、細かな情報を把握していることがあります。手続きが直接的になることがある
元付会社が買主・借主側の仲介も担当する場合、確認や日程調整の経路が短くなる可能性があります。元付会社へ問い合わせる際の注意点
元付会社は物件に詳しい一方で、必ずしも市場全体から幅広く物件を比較してくれるとは限りません。 また、元付会社が売主側と買主側の双方を仲介する「両手仲介」になる場合があります。両手仲介自体は違法ではありませんが、価格交渉や条件調整の場面では、会社が双方の立場に配慮する必要があります。 そのため、担当者の説明が公平でわかりやすいかを確認することが大切です。客付会社へ相談するメリット
複数の物件を比較しやすい
客付会社は、さまざまな元付会社の物件を横断的に探し、希望条件に合う候補をまとめて紹介できます。物件探しの窓口を一本化できる
掲載会社が異なる物件でも、紹介可能であれば一つの客付会社へまとめて相談できます。比較する立場から助言を受けやすい
特定の物件だけでなく、複数の候補を比較したうえで、メリットや注意点を説明してもらえる可能性があります。買主・借主側の希望を整理してもらえる
予算、エリア、間取り、通勤時間、初期費用などを整理しながら、自分に合う条件を明確にできます。客付会社へ相談する際の注意点
客付会社は元付会社へ確認しながら手続きを進めるため、申込状況や細かな条件について回答に時間がかかる場合があります。 また、物件によっては元付会社の方針により、他社から紹介できない場合もあります。「元付なら仲介手数料が安い」は本当?
SNSでは、「元付会社へ直接問い合わせれば仲介手数料が無料になる」「元付から申し込んだ方がお得」といった情報を見かけることがあります。 しかし、元付会社だから必ず仲介手数料が安くなるわけではありません。 仲介手数料の金額や負担方法は、次のような条件によって異なります。- 売買か賃貸か
- 売主・貸主から報酬を受け取れる契約か
- 買主・借主からも仲介手数料を受け取るか
- 物件ごとの広告料や業務委託料の有無
- 不動産会社独自の割引制度やキャンペーン
- 仲介サービスの内容
仲介手数料だけで判断しないことが大切です
仲介手数料が安くても、説明不足や契約条件の確認漏れがあれば、入居後や購入後のトラブルにつながる可能性があります。費用だけでなく、担当者の対応力や説明のわかりやすさも比較しましょう。
SNSで話題の「囲い込み」とは?
元付・客付を調べると、「囲い込み」という言葉を目にすることがあります。 囲い込みとは、元付会社が他の不動産会社から物件の紹介依頼を受けても、正当な理由なく紹介を断るなどして、自社だけで買主や借主を見つけようとする行為を指します。 売買仲介では、元付会社が売主と買主の双方から仲介手数料を受け取る「両手仲介」を目指すために、他社からの紹介を制限するケースが問題視されることがあります。ただし、紹介できないことがすべて囲い込みとは限りませんすでに購入申込みや入居申込みが入っている場合、売主・貸主の事情がある場合、広告や紹介が制限されている場合など、正当な理由で紹介できないケースもあります。
一度断られただけで囲い込みと決めつけず、理由を確認することが重要です。
元付会社と客付会社、どちらに相談すべき?
どちらが良いかは、物件探しの状況によって異なります。すでに希望物件が決まっている場合
申込状況や細かな募集条件を早く確認したい場合は、元付会社へ問い合わせる方法があります。 ただし、ポータルサイト上では、掲載している会社が元付会社なのか客付会社なのか、一般の方には判断しにくいこともあります。複数の物件を比較したい場合
まだ希望物件が決まっておらず、複数の候補を比較したい場合は、物件提案に強い客付会社へ相談すると効率的です。購入・入居条件に不安がある場合
住宅ローン、入居審査、初期費用、ペット飼育、勤務形態などに不安がある場合は、自分の状況を理解し、交渉や調整を丁寧に行ってくれる担当者を選ぶことが重要です。「元付か客付か」だけでなく、担当者の説明力・提案力・誠実さで選びましょう
信頼できる不動産会社を見分けるポイント
- メリットだけでなく、物件の注意点も説明してくれる
- 仲介手数料や初期費用の内訳が明確である
- 申込状況や確認中の事項を正直に伝えてくれる
- 希望条件に合わない物件を無理に勧めない
- 契約を急がせるだけでなく、検討時間を与えてくれる
- 重要事項説明や契約条件について質問しやすい
- 問い合わせへの回答が具体的である
- 個人情報を適切に取り扱っている
元付・客付に関するよくある質問
元付会社でなければ契約できませんか?
いいえ。客付会社を通して、他社が元付となっている物件を契約できるケースは多くあります。
客付会社でも、ほとんどの物件を紹介できますか?
業者間で公開されている物件であれば紹介できる可能性があります。ただし、申込状況や売主・貸主の意向、紹介条件などによって取り扱えないこともあります。
ポータルサイトを見れば元付会社がわかりますか?
広告表示だけでは判断できない場合があります。気になる場合は、掲載会社へ「この物件は御社が元付ですか」と確認する方法があります。
元付会社へ直接申し込めば審査に通りやすくなりますか?
元付会社へ申し込んだからといって、必ず審査が有利になるわけではありません。賃貸では貸主や保証会社、売買では住宅ローンを扱う金融機関などが、それぞれの基準で審査します。
複数の不動産会社へ同じ物件を問い合わせてもよいですか?
問い合わせ自体は可能ですが、複数の会社から同じ物件へ重複して申込みを行うと、手続きが混乱するおそれがあります。申し込む会社は一社に決めましょう。
元付会社と客付会社では、どちらが良い会社ですか?
役割が違うため、一概にどちらが良いとはいえません。最新情報への強さ、物件の比較提案、説明の丁寧さなど、自分が重視するポイントで選ぶことが大切です。
元付・客付のまとめ
- 元付は、売主・貸主から直接依頼を受けている不動産会社
- 客付は、買主・借主へ物件を紹介する不動産会社
- 元付会社と客付会社が協力して契約を成立させることがある
- 同じ物件を複数の会社が掲載していても、物件自体は同じ場合がある
- 元付会社は物件の最新情報や詳細を把握していることがある
- 客付会社は複数の物件を比較しながら提案しやすい
- 元付だから仲介手数料が必ず安くなるわけではない
- 会社の立場だけでなく、担当者の誠実さや説明力も重要
元付・客付の違いを理解しておくと、不動産会社とのやり取りや物件情報の見方がわかりやすくなります。
物件探しでは、「どの会社が掲載しているか」だけでなく、最新情報を正確に伝えてくれるか、希望条件を丁寧に聞いてくれるか、物件のデメリットも説明してくれるかを確認しましょう。
信頼できる担当者と一緒に物件を比較することが、納得できる住まい選びや不動産購入につながります。

コメント